ウツギの日々趣味日記

ゲーム・アニメ・音楽・読書など。趣味のことをつらつらと。

「パルワールド」に対する嫌悪感について

X(旧Twitter)を見ていたらトレンドに飛び込んできた「ポケモンのパクリ」のワード。見るんじゃなかったと後悔しています。

メリープかウールーらしきキャラクターがプレイヤーに殴られ痛そうにしていたり、パモットみたいな子が労働させられていたりする映像が、ゲラゲラ笑いながらプレイしているであろうプレイヤーのコメント共に流れてくるんですから・・・。

残酷なゲームは別に嫌いではないはずなのですが、パルワールドについては動画を見た瞬間激しい嫌悪感が沸き上がってきました。もう我慢できないので、今回はその件について書いていこうかと思います。あー予定してた記事がまた遅れるー!

注意

  • 私はパルワールドは未プレイです。ポケモンシリーズも、赤、銀、サファイアのみクリア済みで、ゲームシリーズからは離れています。
  • しかし今回私が問題にするのはキャラクターデザインパクリなので、未プレイであっても言及できる範囲であると考えています。
  • なるべく心情の吐露に終始しましたが疑念が拭えない為、断定的な書き方になっている事ご容赦ください。
  • 立場を明確にする為ゲームシステムなどについても触れていますが、ゲームシステム自体への言及は主旨ではない事、ご理解いただけると助かります。

 

「パクリゲー」として注目される事を意図していないか

ja.wikipedia.org

さて今回は「パクリ」といえど「エムブレムサーガ」と事情が異なります。「エムブレムサーガ」で一番の問題となったのは、さもファイアーエムブレムの続編かと勘違いされるようなゲーム画面に売り文句で非常に紛らわしかったからでした。他人の褌で相撲を取る暴挙だったのです(製作者はFE関係者なので赤の他人ではないのだが)。この件は、最終的に名前を変更させる事によって解決を見ました。

パルワールドは「ポケモンのパクリゲー」をフックとして作品を売り込もうとしている可能性があります。ポケモンとはシステム上の相違点があり、ポケモンシリーズと誤認させるような表記は無いのでこの点は少し異なりますが、有名作品の名前を利用する事で知名度を得ようという点でエムブレムサーガの意図に近いものはあります。

パルワールドでは、一見してポケモンと勘違いされるデザインを使う事で、ポケモンをフックとして作品を売り込もうとしている可能性があるということです。それがもうとてつもなく気持ち悪い。

キャラクターの持つ物語性を否定するということ

今作はポケモン以外にも様々な作品の借用が見られます。このシステムと、ポケモンデザインの借用を全くかみ合わせる気が無いのも嫌悪感の原因だと私は感じています。

前提として、ゲームシステムの話をしましょう。人間は無から何かを生み出せるわけではありません。特定のゲームシステムをリスペクトしたり、影響を受けることによって作品が生み出される事は多くあります。ポケモン自体、ウルトラセブンのカプセル怪獣に大きな影響を受けた作品だと明言されています。

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昨今では「〇〇ライク」というような特定のゲームシステムの類似に対する呼称がありますし、このゲームシステムのファンでそのまま採用しましたというゲームは少なくありません。

特にデモンズソウルやダークソウルをベースとした「ソウルライク」のようなシステムの流用は多くの作品で見られますね。多くの作品はオリジナリティや新システムを追求しており、最近ではほとんどジャンル名として定着しつつあります。

私はこういったシステムの流用が見られる作品に嫌悪感を抱く事はあまりありません。新しいものを作る、もっとこうしたいという気概を感じますし、実際違う遊び心地をひとつひとつの作品から感じられますから。

二次創作についても同様に、ほとんどの場合嫌悪感はありません。パロディ作品などもわりと平気な方です。なにしろ多くの作品は、単なるゲームシステム・キャラクターデザインの借用に留まりません。原作のオマージュを取り込み、別の媒体で作品を再現することに努め、「これは二次創作で私はファンだ!」「これとこれを組み合わせたい!」という感情をこれでもかとぶつけてきますから。

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最近私の中で印象に残っているのは「メガサーバル」です。アニメ「けものフレンズ」をモチーフにしたロックマンライクのアクションゲームで、アニメを全編見たであろうストーリー演出もあり、ドット絵の動きも可愛くしかもロックマンライクのゲームとして非常にシビアで(だから序盤で詰んでる私)出来のいいアクションゲームになっています。

もちろん、ゲームシステムやキャラクターデザインの借用は事実であり、法的には限りなく黒に近いグレーです。継ぎ接ぎして作品を完成させることに軽薄さを感じる人もいるでしょう。しかし私はこのような原作愛をベースとした作品を尊敬せずにはいられません。作品の良さを理解していなければ絶対に作れない挙動、演出、物語・・・そして改良がそこには存在しているからです。

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もちろん、これらのファンメイドが許されるかどうかは原作者の匙加減一つであるのは言うまでもありません。

寛容な事で有名なのは「ソニック」シリーズでしょうか。ソニックシリーズは他シリーズにない無二の爽快感が魅力のアクションゲームなのですが、結構作品によって遊び心地が違うらしいので「この遊び心地の続編をくれよ!」というファンも少なくありません。その為、改造やファンメイド作品がまあ多いです。

とんでもなく原作と酷似しているため行為としては限りなく黒に近いグレーですが・・・。セガサイドのファンメイドに対する寛容さもありほとんどが公開中止になる事が無く存続しています。一部作品は本家サイドの目に留まり「ソニックマニア」のようにファンメイドが公式になるようなケースもありました。

個人的には寛容すぎて大丈夫なのかそれはと最初驚きましたが。このようなほぼ同じ作品であっても、作者が良しとするなら許すべきだろう、是であれ否であれ作者の意向を大切にすべきだというのが私の考えです。

ですからもし「パルワールド」に原作愛がなくとも、ゲームデザインについては原案者の許可次第(あとは特許次第)で、私は静観するだけです。

しかしキャラクターデザインとなるとそうも言っていられません。これを認めると恐ろしい世界が待っていますから。

皮をはぎ取り、被せる

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有名どころだと私はトーマスMODくらいしか知りませんが、さてこのMODシリーズは、関係ない作品にきかんしゃトーマスを登場させるのが目的のMODです。

きかんしゃトーマス自体にも、物語があり、性格があり、キャラクター性が存在しています。この種のMODは、ゲームの世界観から浮いた世界観や物語性を持つトーマスを登場させることでギャップを楽しむのが目的だと思いますが・・・ともすれば両者の世界観を損ないかねません。

パルワールドの嫌悪感はここにあるのでしょう。

もしポケモンのような生物にこんな事をさせてみたいという発想でパルワールドのようなゲームを作るのであれば、ポケモンの生態に関する考察は欠かせません。食用ポケモンも存在しますし、初期には黒々とした部分もありましたしね。

ところがパルワールドにおけるデザインの類似には、愛も考察もありません。再現を図るでもなく、新しい境地を開拓するでもなく、ARKを他の皮でやりたくてとりあえず思いついたのがポケモンだった、みたいな雰囲気。物語性のギャップを楽しむ皮MODのようなものなのです。

それをゲーム本編でやる暴挙・・・。

えぇ・・・それやりたいならポケモンに寄せなくてもよくね?デザインサボるなよ。
と、私などは思ってしまいました。

あれこれ言い訳を重ねられてもポケモンにデザインは似ているし、そのポケモンには生態もあれば歴史もあるわけです。他作品の世界観と衝突しかねない類似デザインについて憂慮できなかった設計者が無能なのは確実でしょう。自分が大事にしていたぬいぐるみに違う名前付けられて違う設定で動かされる嫌悪感。少なくとも私は無理でした。

好きなキャラと同じ顔をした別の何か

もう一つ、ごく個人的な経験を書かせていただくと、昔さる個人サイトで、牧場物語のヒロインの立ち絵がその個人製作の作品でフリー素材のように扱われているのを目撃したことがありました。全然違う名前で、全然違う性格のキャラクターが、でも大好きなヒロインのツラをしてなんか喋っている。あの時の言いようのない嫌悪感を忘れる事はできません。

その人にとって彼女はただのフリー素材なのかもしれませんでも私にとっては、ゲーム内で一度でも連れ添った恋人であり、配偶者であり、生活の一部でした。彼女の美点が、彼女の事を何も知らない赤の他人の手で全て握りつぶされるのが気持ち悪くて仕方ありませんでした。当時は確かまだ小学生でしたからなおさらショックは大きかったです。

パルワールドは上手くデザインを誤魔化して逃げていますが、残念ながらぱっと見は「法律を犯さなけりゃ良い」の精神で作られたパチモンです。たぶん色々なポケモンファンが、私がこの「ヒロインと同じ顔をした別の何か」から感じた嫌悪感と同種のものを感じているのではないでしょうか。

「これくらい良いじゃん」を突き進めていくと、待っているのは同じ顔をした別の何かに塗れた世界です。転用される過程で、そのキャラが元々どんな歴史を持っていて、性格はどうで、どうしていまここにいるのかという物語がどんどん薄らいでいきます。きかんしゃトーマスMODのように、ただ設定だけの存在として消化されていくのです。

こんな世界に、一体誰が我が子を放ちたいと思うでしょう。キャラデザインを守っていくならとてもじゃないですが、パクリの可能性があるデザインに簡単にイエスとはいえません。

なぜ自分のアイデアを愛さないのか

繰り返しになりますがシステムについては良いどこ取り結構、その点について非難するつもりはありません。カジュアルなARKを目指すのであればそれも良いでしょう。

ところがデザインのパクリはポケモンに留まりません。「それ、ブレワイのUIでは」という画面や、ポケモン図鑑をモチーフにしたと思しきシステム、本当にリリース前に確認したのかと問いただしたくなるような継ぎ接ぎ作品でした。

今作のシステムにはゲームコンセプトとシステム、デザインの繋がりが感じられません。隙間を他ゲームの借用で埋めるばかりで、熟成させる期間が無かった作品なのだとみていて感じました。

それでも、普通に試みるだけなら嫌悪感もなかったのに、話題性の為にポケモンのデザインをパクったのかと思うと気持ち悪くて仕方ありません。・・・この人達は自分のアイデアを愛していないのだろうか。「こういう改良みんなも望んでるだろ?」ってどうしてポケモンの皮を被らずに言う事ができないのか?いや多分、そういうクリエイター的な投げかけ自体、ナンセンスなんでしょうね。

最後に

ここまでの話は、私のごく個人的な嫌悪感に関するお話でした。

正直言って法律上の問題については、酷似していても著作権法違反になるケースは少なく、たとえ「意図してパクリゲーとして売り出そうとしている意思」が製作サイドから垣間見えたとしても、動かぬ証拠が確認できない限りは、個人にどうこうできる問題ではありません。ゲーム会社の判断を待つべきでしょう。

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しかし、見た目を完全なるポケモンにしよう!というMODは既に出ています。これ以上スクショが出回ると「ポケモン」のイメージを激しく損なう可能性がありますし、これを機に他にも色々あるらしいデザインの借用が炙り出されてこれ以上の大きな問題に発展することもありえます。身構えておくに越したことはありません。

いやほんと、なんて事をしてくれたんでしょうね・・・。パルワールドの製作会社がこれ以上どうコンテンツを燃やすつもりか知りませんが、できればもう目に触れるところに現れて欲しくないものです。

この出来すぎた展開を見るに、ゲームを完成させることも責任を全うする事もせず、苦しい擁護を続けてくれる無垢なユーザーを捨てて、アーリーアクセスを理由に売るだけ売ったら逃げるつもりかもしれないと思うと吐き気がします。

大きな禍根を残さずに収まってくれることを願います。

 

(ソニックマニアの説明について、不正確では?と思う点を修正しました。脱字を若干修正)

(2024.01.24 修正:ウルトラマンセブン→ウルトラセブン。ふだんエムブレム警察をしそうになるのにこれはいけない。)