ウツギの日々趣味日記

ゲーム・アニメ・音楽・読書など。趣味のことをつらつらと。

【ネタバレ有り】「烈火」ヘクトル好きによる「ファイアーエムブレム風花雪月」感想

 

ファイアーエムブレム 風花雪月 -Switch

ファイアーエムブレム 風花雪月 -Switch

  • 発売日: 2019/07/26
  • メディア: Video Game
 

 

今更ながら感想です。ノーマルで支援会話を回収しつつのプレイ。

私にしては珍しく文句多めの感想となっておりますが、どうかご容赦ください。

 

 

 

私のFE歴と今作を遊んだ経緯

私は「烈火の剣」からプレイ。ドット絵の素晴らしい戦闘アニメーション、手ごたえのあるシミュレーション要素、王道ファンタジーなストーリーと支援会話、ヘクトルと筋肉と鎧にハマりまくりました。セーブデータが壊れてまともにセーブできなくなるほど「烈火の剣」を遊び倒したあとは、「封印の剣」「聖魔の光石」「蒼炎の軌跡」飛んで「覚醒」、バーチャルコンソールで「暗黒竜と光の剣」*1と遊んでいます。熱狂的なファイアーエムブレムファンというほどではないのですが、好きなゲームシリーズの1つです。

ただ、もともとシミュレーションRPG要素のほかにドットアニメーションの鎧の重厚感が好きで遊んでいたこともあり、ドット絵からCGになってしまった時点でちょっとモチベーションが下がっていました。

鎧好きゆえに離れていた数作

更に「覚醒」では、CGだけならまだしも鎧デザインそのものが大幅変更。これがかなりショックで、一応遊んでみて他の要素は楽しんだものの、あまりにアレな鎧に耐えきれず*2、しばらくシリーズから離れていました。

ファイアーエムブレムif 白夜王国 - 3DS

ファイアーエムブレムif 白夜王国 - 3DS

 

その後、このifのパッケージを見て「もうなんか別ゲーになってしまった・・・」と嘆いたあと、

ファイアーエムブレム Echoes もうひとりの英雄王 - 3DS

ファイアーエムブレム Echoes もうひとりの英雄王 - 3DS

 

エコーズ*3のパッケージで「ん?この鎧ならいける・・・」となり、その後「風花雪月」で映像を見て変な鎧が完全に姿を消したことに安心し、「このキャラデザなら全然遊べるぞ!」と購入を真剣に検討し始めました。

他にも3つの学級の中から選んで学校生活を行うという今までのFEではなかったシミュレーション要素、シナリオ分岐を示唆する紹介映像や「5年後」への興味、それと周囲の評判もあって購入に踏み切った、という感じです。

シナリオの感想

女性主人公で3学級攻略。3週目をクリアし、これから教団ルートと男性主人公であと4周するぞという人間の感想です。正直シナリオ全体としての評価は悪いです

色々と不満があるんですけど、とりあえず良かったところから書きます。

諸君、クロードは良いぞ。

金鹿学級とクロードは好き

1週目、最初のやり取りでなんとなく詳しく知りたいなと思って金鹿学級を選択したんですが、一週目が彼の学級でよかったと思います。

自らを異物といい、当初は飄々として主人公にも本意を見せてくれない彼。修道院の本を漁って伝承の事を調べていたりするし、怪しさ満点。ところが蓋を開けてみれば、途方もない野望を掲げた熱い奴なんですよね。

壁を取っ払ってみんなが仲良くできる世の中を作りたいという彼の思いに強く共感しましたし、その一方で現実的な考えも持ち合わせており、ただ単に理想を追いかけているわけではなく、現実の中でどう理想への道をこじ開けていくのか苦闘している様も魅力的でした。

まあ、ぶっちゃけ戦略面の描写はガバガバで、もうちょい策士っぷりが見たかったという思いもあります。けれども彼は元はパルミラ出身で、向こうでも王族なのに無理やりフォドラ側に担ぎ出された人間なんですよ。両親が結婚した経緯からして、ちゃんと王族としての教育を受けてきたのかも謎です。そんな中、5年かそこらで同盟諸侯の信を得て、異国でこれくらいの采配が振るえるのであれば十分なのでは、と思います。

自分の立場さえも理想の為に利用してやろうという根性。あと、人をさんざん虜にしておいて最後の最後で人にフォドラ王の地位を押し付けて「俺パルミラに帰るわー王様にならないとー」「次会うときは世界の夜明けだ」とか言いやがった所も好きでした。

っかー!なるほど政略婚ですか!世界平和と愛する人を両取りですか!どんだけ強欲な男なんだお前は!好き!

欲を言うなら戦後処理してから帰って欲しかったな!主人公がやりやすいように根回ししたって事で脳内補完していいの?

金鹿学級ルート自体は帝国を倒した後のヒューベルトからの黒幕の暴露手紙やネメシスと対峙するまでの流れは唐突な感じがあり、いまいち消化不良でした。でも一番世界観の事を掘り下げてくれましたし、十傑と戦える展開は燃えました。

その後、青獅子学級ディミトリ→黒鷲学級エーデルガルトと攻略していくのですが、ディミトリやエーデルガルト狙いでプレイしてる時もこいつ自重しない。

親睦を深めたいとかいってくるし、舞踏会では毎回手を引いてきやがるし、主人公と仲良くしようとしてきて心が揺れました。やめてくれよお前、今エルちゃん攻略してるんだよ私は。なんでどのルート選んでも割り込んでくるんですかねこいつ!別にいいけどさ!

そんな彼が私はたまらなく好きです。

インパクト重視のシナリオ

理想は同じでも、何を問題とするのか、どんな手段を取るのか3人とも違う。それぞれ立場や境遇から別々の道を歩むことになるというテーマは良く描かれていた作品だと思います。ただ、中途半端さも感じます。特に文句を言いたいのがルート毎の級長の変化です。

そら一周目に選んだ学級で印象変わりますよ、同じキャラとして描けてないもの!

たとえば、上記で私が絶賛したクロードですが、黒鷲学級からプレイしていたらだいぶ印象が違うと思います。彼の人柄や出自がほとんど分からない状態で5年後に突入し、同盟との戦いで最終的に命乞いをされるわけですよ。

それだけならまだしも、助けてあげたらいけしゃあしゃあとその後の会話に登場してくる。で、「この恩はいずれ返す」なんてもう一度言って同盟を帝国に押し付けてパルミラに帰るんです。うーん、その再登場と会話シーンいらなくない?

設定を考えれば理解はできます。パルミラの王族であり「フォドラの壁を壊せるなら教団をぶっ潰すのもありかもしれない」と金鹿学級ルートでちらっと話していた彼が、エーデルガルトが主人公と組んでフォドラ統一に乗り出した事に安心してパルミラに帰るという筋書きは、ある程度納得のいくものです。おそらく彼はフォドラ統一後、パルミラの抑え込みとフォドラとの国交成立の為に奔走するのだろうな、と。

でも、なんというか見せ方が悪くて、他級長に対して悪印象を植え付けるようなシナリオになってしまっているんですよ。

黒鷲の学級が1周目という人は「なんやこいつ。ヒルダ戦わせておいて自分は命乞いして逃げるし、せっかく逃がしてやったのに偉そうに会話に入ってくるしうっざ。殺しとけばよかった」って感想の人もいたのではないでしょうか?

設定を生かすなら、戦闘後に「野望の為に自分はまだ死ぬわけにはいかない」とほうほうの体で逃げ出すクロードでも全然アリだったんですよ。最低限、逃がした後戻ってくる展開にしない方がスッキリしたシナリオになったはずです。この会話イベントには悪意さえ感じます。このシナリオ書いた人絶対クロード嫌いだろと。周回プレイに興味を抱かせるにしろもっとポジティブな興味の引き方はなかったのかと。

結果的にお互いの正義が分かっていてなお戦うシナリオというより、中途半端な正義同士が互いにディスりあっているような醜いシナリオになってしまったように私には感じられました。その点、黒鷲学級の時のクロードの扱いはなかなか見ていてきついものがありました。

ディミトリについてはもっと可哀そうです。ルートに入っても悪印象が付き纏いました。

金鹿学級ルートでディミトリの変貌に驚いた私は2週目で青獅子学級を選択するのですが、エーデルガルトとの関係が発覚し、5年後に突入する前の発狂シーンや、5年後の憔悴しきった姿には相当精神を削られ、2部に入ってしばらく「彼はいつ正気に戻るの?何したらいいの?」とおろおろしていた記憶があります。

結局、主人公の存在ではなくロドリグの死によって終盤やっと奮起するのですが、あまりに唐突な復活「主人公の意味、あったのか・・・?」と思いました

青獅子学級は序盤からスポットライトが当たるキャラクターが多く、シナリオ的にはなかなかボリューミーな内容になっています。が、だからなのか、主人公のいる意味が薄くなってしまっています。

好意的にとらえるなら、主人公によって落ち着くまでの期間が確保できたから復活したという事もできますが、発狂させるならちょっとなんとかならなかったのか。

中盤あたりで復活させて、消沈していた期間を後悔させるような内容をやって乗り越えさせて、終盤のロドリグの死に合わせた方がシナリオとしては丸かったはず。なんでこんな終盤やっとまともになるみたいな内容に・・・。主人公の時間巻き戻し能力についてフォローもないし。

もう、リレー小説で無茶苦茶な設定を追加されて苦悶しながら軌道修正する第二走者のようで見ていて辛かったです。絶対思い付きで発狂させただろ。不幸な設定だけ盛られてきちんと消化させてもらえないってディミトリ不憫すぎる。

また、青獅子学級ルートではエーデルガルトが魔獣化していたのもとても怖かったですが、黒鷲学級をやっていると信じられない光景で、結局青獅子学級ルートでなぜ魔獣化を決断したのかさっぱり理解できませんでした・・・。

彼女が追い詰められたとしてこんな事をするだろうか。納得できるだけのシナリオが用意されていません。インパクト重視の魔獣化だったとしか思えない。

投げっぱなしの伏線と図書館

このようにいくつかの不満を抱えた3学級全4ルート。全部ルートプレイしても説明不足に不満が残る内容なうえ、割と重要な情報が図書館にしれっと書いてあるのも頭が痛いです。

探索して情報を集めていくゲームならこういう情報がゴロゴロ図書館にあっても違和感がありませんが(むしろ本集めとか好きだが)、こんな散策なんかほぼほぼスルーしていいゲームで、散策中に見つかる図書館なんてシナリオを急いだらスルーしてしまう要素ですし、文字情報の羅列で読み物としても面白くない。

なんというか、自然に設定を説明したり生かしたりするのが苦手なライターさんなんでしょうね。この整理のされなさと中途半端なシナリオはどうにも受け付けませんでした。

シナリオ面を発売前に大々的に宣伝した割には微妙な内容です。設定は良いのに存分に生かされていない、キャラクターものの域をでないシナリオだというのが正直な感想でした。

散策要素について

一応、基本的に「散策」コマンドは選ぶ必要がなく、支援会話に興味が無ければ無視してサクサク進められますが、それでも序盤、戦闘に入る前のパートで情報収集の為に歩き回るのを強制されるのはとてつもなくダルかったです。

これは個人的な感覚なんですが、散策を楽しんでいるようなテンションの時は戦闘パートを一切やりたくないし、戦闘パートをやりたい時はカレンダーとにらめっこしたり学院を走り回るのが苦痛なんです。両方を楽しめる気持ちになっているタイミングがない。

シミュレーションRPG的な楽しさと、探索要素の楽しさ、そして育成シミュレーションの楽しさはそれぞれ違います。別々のゲームを同時にやっているような違和感、噛み合わなさはどうしてもありました。せめて2周目以降は散策を全飛ばしでも良いようにして欲しかった。

散策を楽しむにしろ良質な探索ゲームは他にいくらでもあり、釣り・栽培・その他もろもろアイテム集めなど、せっかく種類があっても集める喜びも無ければ、特にゲーム性があるわけでもなし。

これならちゃんとアイテムのビジュアルやフレーバーテキストがあって収集が楽しいタイトルだとか、品種改良などがある農業・酪農系のタイトルの方がよっぽど楽しい。結局散策に関しては、キャラクターとのやり取り以外の要素はほとんどスルーして遊びました。

ただ、シナリオを考えると、従来のファイアーエムブレム通り章毎の展開だけではどうしても「生徒と先生」の関係が弱くなってしまうなとも思います。生徒の育成方針に悩み、生徒の生活している様子に触れているからこそ「日常の終焉」を感じることができ、「5年後」の展開に重みが出るのではないか。そしてその関係の強化に、散策が一役買っているとも思えるんです。評価の難しいところです。

「お茶会」要素は恋愛要素としては微妙

近頃は「手ごわい恋愛シミュレーション」などと呼ばれるFEシリーズ。今回は散策中にキャラに話しかけると「お茶会」に誘うことができ、お気に入りのキャラと二人きりでお茶を楽しむことができます。

私自身は恋愛要素は好きな人なんですが、このお茶会要素には全くハマりませんでした。支援会話で充分だな、と。

自分のクラスだけでも結構人数がいるのに、散策で片っ端から「スカウト」していくとキャラクターの数は20人近くになります。毎週、休日に突入するとばーっと支援会話が追加され、その1つ1つを追っていくだけでもう満足してしまうんですよね。

主人公とキャラクターの関係性を深めていくより、キャラクター同士のやり取りを通して新しい一面が見えていく方が私は好きなので、そういう感想になるのかもしれません。既存の情報を元に選択肢を選んで正解を引くだけってそれただのクイズじゃないですか。

それでも今作でとりわけ気に入っているクロードは何度もお茶会に誘いXボタンを連打しましたが、そのようによほど気に入ったキャラがいなければ特に面白みもない要素でしょう。こんなのにリソースは割かないで欲しい。と私は思いました。

戦闘要素

従来、ファイアーエムブレムはキャラクターが登場した時点である程度兵種が決まっており、一定のレベルに達したらいくつかの選択肢の中からプレイ方針に見合った兵種を選んでいく、という感じでした。

しかし今作では、自分のクラスの生徒を文字通り1から育てることができ、最初に選ぶ兵種から最終的にどの兵種を目指すのか、ほとんどプレイヤーの手に委ねられています。キャラクターのステータスで魔法か武器かは若干分かれますが、3すくみシステムも消失していますし、かなりの自由度です。

自由育成は面白いが、方向性が違ってきた感あり

この自由度は全員剣とか斧とか弓とか、変則プレイが楽しめる一方、今まで製作者側で兵種の数を調整することでなんとなく保たれていた戦闘バランスが崩壊する危険もあります。よくある現象ですね。ある特定の職業が強すぎてみんな同じ兵種になっちゃうって。このゲームでもありました。

今作、飛行ユニットが便利すぎる。

壁や川を無視できる飛行ユニット。ステージによっては計略と合わせてボス直行で1ターンで決着です。マジやばいです。弓ばかりの危険地帯に来たら下りれば良いっていうのもずるい。弓をもろに食らっても意外と平気なのもおかしい。前はもっと脆かったよなお前!?

ドラゴンナイトだとステータスが高めというのもずるい。このユニットを量産できるのがやばい。結果として私の部隊は2周目以降ドラゴンナイト塗れになりました。

ルナティックまだやってないんで飛行ユニットの強さがいかほどかは分かりません。でもなんか今作、斧は命中率良くなってる気がするし、拳の攻撃回数がやばいし、サブウェポンとして全員弓持っとけば良いじゃんみたいなバランスは、こう、なんか、こう・・・。

私がシリーズから離れてる間に何があったんですか!

っていうか飛行ユニットっていつから弓持ち可能になったんでしたっけ?

「覚醒」・・・?

 

ちょっと開発、なんでクロードを弓持ちドラゴンロードにしたの??
2部で連れてくる騎士団も強すぎるんだが??
どれくらい意図したバランスなんすか!?
ちょっとこの扱いヘクトルを思い出すんだけど!??

 

そして今回出てきたのが「計略」。今回、ユニット毎に「騎士団」を付けることができるのですが、彼らを使って攻撃や防御、その他もろもろ色々便利な特殊技を使う事ができます。

その中でもとりわけ便利なのが「神速の構え」で、上でも書いた通り、これといろいろ組み合わせるととんでもない速度で章攻略が終了するんです。支援会話の為だけに周回してた時なんか、ワープ(※回復魔法カテゴリの技)+神速の構え+飛行ユニットの主人公だけでだいたいなんとかなってたくらい。

他にもダメージを1にする技、敵の位置を変える技、範囲攻撃の技など、色々できて楽しい。組み合わせによってより効率よい攻略法を模索していくのはこの手のゲームの醍醐味の一つですし、ゲーム性としてはなかなか面白かったです。

でも、今まで遊んでいたファイアーエムブレムは「ない中でなんとかする」系の戦略が楽しかったりしたので、選び放題・組み合わせ放題の今作は今までとゲームの方向性が違ってきたかなという感じがしたんですよね。「聖魔」の時にレベリングし放題になって「ん?」と首を捻った違和感がいよいよ具体的になってきました。

まあ制限したかったら自分で縛れば良いんですけど、このやり方が好評だったから次からはもっと自由にするよ!なんてやられた日には、絶望でむせび泣きそうです・・・。

最後に・「ファイアーエムブレム」を形作るもの

ファンとして思うところあり、粗をボロクソに叩くみたいな感想になってしまいましたが(*4)、シミュレーションRPGとしてなら良作の部類であると思います。

ノーマルモードはかなり育成がしやすいように作られていて、クラスも好みで無茶苦茶に選んでも楽々クリアできるような難易度でした。それでいてターン短縮の為のやり込み要素や編成パターンも豊富です。初心者には普通におすすめできます。あれだけのヒットを記録したことも納得の内容ですし、シリーズの間口を広げたという意味でシリーズにかなり貢献した作品といえるでしょう。

ただ、これをFEとしておすすめした時に、旧作とのシステムの違いや難易度、リソース管理の難しさでどうしても引っかかりそうではあります。

ぶっちゃけ、今作でなくなって散々騒がれた3すくみも1作目は無かったし、FEはちょくちょくシステム変更があるみたいなんですけど。この路線で行くのか、少し旧作に戻すのか。今後、ファイアーエムブレムシリーズはどうなっていくのでしょうね。

 

 

 

*1:※途中で止まっているので、Switchで改めて最初から遊ぼうと思ってます

*2:自分でもそんなに鎧好きだったのかよと驚くくらい凹んだ

*3:(※作品自体は「ファイアーエムブレム外伝」リメイクです)

*4:だから数か月くらい公開するか悩んでました