ウツギの日々趣味日記

ゲーム・アニメ・音楽・読書など。趣味のことをつらつらと。

(追記有)絵の特徴を学んでイラストを生成するAI サービス mimicが公開 物議を醸す【気になるニュース】

nlab.itmedia.co.jp

絵の特徴を学んでイラストを生成するAI サービス mimicが公開され、物議を醸しています。

これ悪用されたらどうするんです?
ちょっと整備が足りないと思うんですけど。

「規約によりご自身が描いた画像のみアップロード可能」っていっても、何人が守ってくれるんですかね・・・?

 

www.itmedia.co.jp

「写真によって写実派の仕事が奪われた」なんて話も見かけましたが、今回の問題点は技術革新が云々とは全く違って、コラージュ作品の問題点に近いものです。

なにしろ、現状AIによる絵は既存の写真や絵(あるいはパターン)の切り貼りに過ぎません。見聞きしたものを自分の物にし、「人工知能が自ら絵を描く」という段階にはまだ程遠いのです。

そんな他人の絵の集合体を自分が自由にして良い作品と呼んで良いのでしょうか。駄目に決まっている。しかし、そうしかねないアホが現状多すぎるしアホを止める強制力がありません。そんな状態でmimicのようなAIが公開されることに私は恐怖を覚えています。

少なくともAI使用者側は、インターネット上に画像を公開する際に元になった絵の一覧を余すことなく掲載すべきですが、そんなモラルのある人間を現状、ネット上でほとんど見かけません。本当に一部のAI研究者だけではないでしょうか。

面白がってワードを入れて絵を生成し、それをあまつさえネット上に公開している人々が大多数です。というかAI学習自体が「画像検索で出てくるような画像を勝手にAI学習に使いまくっている」状況です。サンプルが何億枚ならまだ誤魔化しがきくかもしれませんが、コラージュはコラージュ。しかもmimicに必要なサンプルは15作品~30作品程度です。

自分の作品を材料にするのは楽しそうですし、個人でやる分にはどうぞ勝手にやってくださいという感じですが、「こんなものができたよー」と人様の作品の合成物を公開した時点でそれは立派な無断転載だと私は思いますし、今回の事で更に気軽な無断転載が加速するのではないかという不安が拭えません。「また敵が手強くなるんですか」というのが正直な感想。

3. 登録ユーザーは、当社又は当社が指定する者に対して、AI出力物を本サービスの提供、アップデートその他の機能改善・機能追加、広告資料の作成又は当社若しくは当社の指定する者及びそれらが提供するサービスのプロモーション、マーケティングその他の用途に無償で自由に利用する権利を付与するとともに、著作者人格権を行使しないものとします。ただし、登録ユーザーが非公開設定とし、かつ、過去に一度も公開設定としなかったAI出力物はこの限りではありません。

mimic利用規約12条3項

著作者にはどんな権利がある? | 著作権って何? | 著作権Q&A | 公益社団法人著作権情報センター CRIC・・・人格権ってなんぞやと思った方はこちらどうぞ。

それにこの部分。一度でも公開すると自分の絵が勝手にAIの材料にされる可能性があるのに、mimic側はちゃんとその事を発信していません。この点でも私は本サービスに不信感を抱いています。本当に会社、作者を大切にする気あるんでしょうか?サンプルが欲しいだけなんじゃないのか?興味がある方も、少し様子見した方が良いと思います。

また、心情的な問題として、絵師によっては、横から絵を奪い取って破いたり勝手に線や色を継ぎ足したりする事と同義の残虐な行為に写るかもしれません。だって「このポーズ、この絵柄、この配色、この背景こそ至高!」って一生懸命書いたのに、パーツだけ抜き取られて勝手に他人の物にされる可能性があるんですから。なにかキメラのようなグロテスクさがある。

目の前で絵を焼かれたり*1)、破られたり、横から勝手に絵を付け足されたり、絵を描いてきた人の中には、そうやって自分の作品世界を蹂躙された経験がある人が少なからずいますし、作品をAI学習の材料にされるのは、それと似たような嫌悪感があります。絵師のスタンスによってはAIの悪用によりトラウマを刺激されかねないと思います。

少なくとも推し絵師(特に一次創作者)がいるなら、AIに対するスタンスを確認してアホの襲撃に備えた方が良いでしょう。特に気にしていない人もいるでしょうし、逆にかなり気にしていて、既に自衛策として作品を非公開にしている人もいるかもしれませんから・・・。

 

追記:既存のAI技術に既に反応している方の一例

こういう主張はまだ序の口で、そのうち著作権絡みで燃え上がると思います。上記にも書きましたが、これは「写真によって写実派の仕事が奪われた」という話とは全く違って、「元となった無断使用絵が大量にあるかもしれない」というのが焦点です。

技術者側がいくらコラージュではないと叫んだところで、学習に元画像が必要な以上この問題が消える事はないでしょう。

追記

この記事を出した後の19時19分頃、mimic運営である株式会社ラディウス・ファイブから発表がありました。「利用者が著作権を保持していないイラストを、著作権者の許諾なくアップロードすること」に関し、ベータ版では不正利用を防ぐ仕組みが不十分であるとして、トップページを除く全機能を停止、イラストメーカーに関するすべての画像をサービスから削除すると発表との事です(文面はautomaton記事より引用)。ひとまず良かった。改善されることを願います。

更に追記(2022.09.19)

automaton-media.com

9月14日には、不正利用対策を強化したうえでのベータ版を発表。学習に利用されたイラストの公開が必須となった事で、不正利用を見抜きやすくなったのではないでしょうか。漫画やアニメ等の切り抜き利用もこれでし辛くなったはず・・・。今後も動向を注視したいと思います。

 

 

 

 

 

*1:昔ネット上の知り合いに聞いた事がある実話です。焼いたクソ野郎は絵の先生で、下手だと言って焼かれたらしい。その所為でその知り合いは別に下手じゃないのに上手くなる事に固執してのびのび絵を描けなくて可哀そうだった。滅びて欲しいそんな絵画講師。