ウツギの日々趣味日記

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【気になるニュース】厩務員の4労組が賃金体系の見直しを求め団体交渉 決裂なら今週末ストライキ権行使

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JRAの厩務員・調教助手が加盟する4労組が11年から施行されている賃金体系の廃止を日本調教師会に求め団体交渉中。16日は妥結に至らず17日に交渉決裂なら今週末、18日、19日にストライキが行われる模様。フラワーカップ(G3)、ファルコンステークス(G3)、スプリングステークス(G2)、阪神大賞典(G2)に影響が出る可能性が出ています。

昨晩からTwitter等を通して話題になっており、やっとメディアで報道が出た形でした。

結論から書きますと私はこの団体交渉に賛成であり、阪神大賞典を楽しみにはしておりますが、推し馬のお世話をする方々の生活が危ぶまれるのであればストライキもやむなしという考えです。そのうえで、取り急ぎ自分用に情報をまとめました。

 

経緯

情報源がTwitterで見つけた春闘のお知らせビラくらいしかなく心許ありませんが、まとめました。

2011年の利益減に伴い変更になった賃金体系を元に戻して

事の発端は2011年。東日本大震災などの影響により競馬界全体の利益が下がり、一部厩務員の給料(※勤続年数の短い人に限る。*1)も一旦下げなくてはならなくなりました。しかし、その後競馬の売り上げは堅調に回復します。それに伴い、JRAでは出走に関する手当や賞金も上がりました。

そこで、「利益が下がったから給与を下げたというなら、もう十分回復しただろう。そろそろ元の給与体系に戻してほしい!」厩務員や調教助手が加盟する労組が日本調教師会(や間接的に馬主)に要求しているというのが、今回の概要です。

どうやら待遇の問題で新人もなかなか来ない、定年を待たずに辞めてしまう人もいたりと人手不足が深刻で、自分達の給料が――というより、この人手不足解消の一手として賃金体系を戻すよう迫っているのが労組側の主張のメインのようです。

2020年12月から交渉始めるも、話し合い進まず…

4労働組合2020年12月に新賃金体系廃止の為に団結し、交渉を始めました。ところが交渉は遅々として進みませんでした。

一番の問題は、この賃金体系の問題が馬主サイドに全く伝わっておらず、そもそも話し合いのスタートラインにすら立てない期間が長く続いた事です。

厩務員などが給与をもらう流れとしては、馬主が預託料などをはらう→調教師が預託料諸々から厩務員などに分配する、というのが流れらしく、となるとやっぱり調教師と同時、馬主とも話し合う必要が出てくるわけですが、馬主側(JOA:日本馬主協会連合会)と設けようとした話し合いの場も調教師会に邪魔をされてしまったとのこと馬主サイドに給与体系に関する状況が伝わったのも今回の春闘が始まった後でした。(*2

4労組は本日16日都内で午後3時半から交渉したものの妥結に至らず。17日に改めて交渉が行われ、その結果次第で今週末ストライキに及ぶとのことその団体交渉も、本当は9日に交渉したいところ馬主との式典を理由に調教師会が拒否したため、このタイミングになってしまったとのことです。

馬のお世話はストライキ中も継続 レースのみ完全拒否

厩務員がストライキという事で、馬のお世話自体拒否するのか!?と心配する方も多い事でしょう。しかし調べた限り今回のストライキ競馬業務に関するものだけで、馬のお世話や調教はいつもどおり行うとの事。

私は4労組の春闘を支持します

以上の情報から、私は本日の団体交渉と、交渉決裂の際の今週末ストライキ権行使を支持したいと思います。このまま待遇改善されずに人手不足が加速すれば、ストライキなどなくても10年以内に競走が成立しないレースが沢山出るのではないかと思うからです。

競馬には多くの関係者が関わっています。馬の生活を守る厩務員もまたレースに欠かせない存在です。気性によっては扱いが難しく、怪我や、場合によっては命の危険にさらされることもあるでしょう。

最推しの馬が気性が難しい馬なので尚更思います。好きでなければ絶対に務まらない仕事ですし、そこまで費やしてきた勉強代や時間、命に関わることを考えれば、万が一の為に多めに給料をもらっておいて欲しいです。馬が大好きで一所懸命勉強して仕事についた方々が、もし生活苦や将来の不安で泣く泣く辞めざるを得ないのであれば悲しい事です。

また、要求自体もまともなものですし、ストライキも要求に沿った方法であり、馬の生命を脅かすようなものではありません。前々から団体交渉を試みているにもかかわらず拒絶されていることや、このような苦しい長期戦の中で、ストライキ権の確立のための手順をしっかり踏んでいるところを見ても、この団体交渉とストライキ権の行使は正当であると考えます。

今回の団体交渉は他の競馬関係者にとってもチャンスではないでしょうか。上手く厩務員の待遇改善がされれば、それならばと馬に関わる仕事を志す人が増えるはずです。目先の利益の為に交渉を拒絶するのは、若い人材の確保が難しくなっている昨今の情勢を鑑みても、競馬界全体にとって損失であるはずです。

とはいえ、調教師サイドにも主張があるはずです。どれだけの利益を得ていて、いまどれだけ厩務員の方々に還元できる状態なのか、売上だけ見て断定できるわけではありません。逃げて話し合いを先延ばしにするのではなく、徹底的に情報を持ち寄り話し合って、お互いよい落としどころを見つけて欲しいですね。

最後に

私は長距離が得意な馬が大好きで、今週日曜日の阪神大賞典を楽しみにしています。だからこそ、来年も再来年も関係者の給与を心配する事なく、漫然と阪神大賞典を楽しみたいです。その為に今戦う必要があるというのであれば、多少のスケジュール変更など構いません。

あの調教師さん実は給料ちゃんと払ってないんじゃないかとか、実はこの厩務員さんちゃんと食べられてないんじゃないかとか、推し馬の担当者が酷い扱いを受けていたらどうしようとか、そんな事考えながら競馬を見たくありませんから。

競馬界にとってよりよい結果が得られることをいちファンとして願います。

 

おまけ:過去のストライキ

過去にはどのようなストライキが行われたのでしょう。備忘録として有名な例を軽くまとめ。

1999年阪急杯:勝ち馬キョウエイマーチ

直近でのストライキは、1999年阪急杯に影響が出ました。勝ち馬キョウエイマーチと言えば、マルシュロレーヌのお婆様(母母)ですね。4月3日開催のところ、ストライキの影響で翌週4月10日開催となりました。次走が5月23日の高松宮記念で4着

ただ、キョウエイマーチの場合、ローズS:09/21:1着→秋華賞10/19:2着→マイルチャンピオンS11/16:2着みたいなローテを平然とこなしてるので、レース間隔の影響はどこまであるのやら。この後も12月19日スプリンターズS惨敗から翌年1月5日京都金杯勝ってるし・・・。

1976年皐月賞:勝ち馬トウショウボーイ

テンポイントグリーングラスと並び称されるトウショウボーイ皐月賞ストライキの影響がありました。4月18日の中山開催が、4月25日の東京開催に。次走は5月30日の東京優駿・ダービーで2着。しかしダービー勝ち馬のクライムカイザーも同様のローテである事を考えると、不利を受けたのは同じ。そもそも彼はその後も詰まったローテで1着ばっかりで何も参考にならないぞ!

・・・こうしてみると、意外に影響受けてない?皐月賞2着のテンポイントが調整が狂ったというような記事も見かけたので、2,3着以降に影響が出るような事が多いのでしょうか・・・?

というかもしかして、ストの影響受けても勝った馬ってタフな子が多い・・・?

関連記事

(3月23日)ごちゃついてきたのでそのうち別記事作ってまとめます。

基礎知識(春闘労働組合法、JRAの情報)

周辺情報の記事や投稿など

JRA厩務員の給料に関する資料

「4労組は美浦栗東の各2労組で構成。JRAが業績低迷期にあった2011年に人件費圧縮のため、勤続年数の浅い厩舎従業員に限って賃金上昇カーブを緩やかに設定した俸給表が導入された。売り上げ回復を受けて、労組側はこの俸給表の撤廃を求めている。」
そりゃ若い人辞めますよねとしか言いようがない。酷い。

第一に馬主が厩舎に馬を預ける際の基本預託料が一定額だった時代は、人件費が明確化されていたが、今は自由契約制で不透明。値段の高いところに預けといて、高すぎるというのはお門違い。安い厩舎もあるんだから。それで賃金が抑えられるのでは、労働者はたまったもんじゃない」と憤慨。
 「年間の労働時間にしたってそう。一般サラリーマンが約1800時間といわれるところ、厩舎の業務は約2400時間あることを使用者側にはご理解いただきたい』

その他

(19日追記)もしかして・・・と思い弁護士ドットコムで「預託料 馬」と検索をかけると、結構こういう預託料トラブルを見かけました。普通、費用の内訳を出したうえで交渉するものだと素人ながらに思うのですが、一方的に決めてくる馬主もいるんですね。また、馬主同士で調教師を取り合うようなトラブルがあるようで、馬主にも苦労がありそう。その辺ひっくるめて全部公にしてしまえば良いのに。
ちなみに、弁護士の解答は月額会員(330円)に入れば閲覧可能です。

調教師会では『同会の試算によれば、30年からスタッフが不足し始め「1厩舎20馬房12人」の基本スタイルを維持できなくなっていくという。』とする一方、

『調教師会は「少子高齢化に伴う生産者人口の減少」による他業種との“若者の奪い合い”が大きな原因と判断』『師は「どこか職人かたぎだった世界がサラリーマン風の働き方に変わってきている」と自身が厩務員だった時代との違いを実感』としやりがいを強調。賃金について言及がないのも気になります。

 

(2023.03.24 経緯について修正。説明不足だったため、厩務員の給料を→一部厩務員に変更。注釈追加)

*1:その為、現在は旧賃金体制と新賃金体制が混在している

*2:で、あっているはずですが、信頼の置けるメディアから正確な時系列とか降りてこないものでしょうか。今回、Twitterの関連アカウントの情報の方が早く正確で、各競馬メディアがしばらく静観していたのが引っかかります。