巷でやたら宣伝されている「WF-1000XM4」。その価格、約3万。普段、オーディオ機器に高くて5000円くらいしかかけない私からすれば目玉が飛び出るような価格ですが、最近用事があってちょっとお買い物に行ったところ激推しされました。
私がSONYをよく使うと言ってしまったのがまずかったようです。店員さんは前のめり。
「amazonで4万でー」(嘘つけこの前価格見たら下がってたぞ)
「高音がー」馬鹿野郎SONYは低音だろうが!!!!!
という言葉をぐっと飲みこんで、うーんもともと興味はあったし、せっかくノリノリで分割組んでくれたから一回くらい騙されてみるか。と冷やかし半分に購入しました。
そしたらなかなか良かった。
でもこれで3万超えか。どうなんだこれは適正価格なのか・・・?
というわけでとても悶々としたので、
今回は初購入の高額ワイヤレスイヤホンレビューをしたいと思います。
※今回レビューするイヤホンは自宅での耳栓兼PC用に使用しています。人ごみは考慮しておらず、またマイク機能のレビューはしていません。ご了承ください。
※音質については付属のイヤーピースを使用した場合のレビューですが、普段は別のSONY製イヤーピースEP-EX11Lを使用しており、各種機能のレビューはEP-EX11Lを使用した際のレビューとなっております。ノイズキャンセリングの使用感については、耳にイヤーピースがフィットするかどうかでだいぶ変わると思われますので、ご注意ください。
こんな人がレビューしてます
・SONYの有線ヘッドホンを昔買って2000-3000円で手軽に重低音を楽しめるところに惹かれて愛用し続けている。音が若干ぼわーっとしているのが気になるけどドラムとベースさえちゃんと聞こえれば良い。
・普段使いのオーディオ機器:WI-C200、WI-C310という良コスパのSONYワイヤレスイヤホンと、SONYのMDR-XB55を愛用している。つまり普段はあんまりオーディオ機器にお金かけない人+SONYリピーターのレビューとなっております。
・イコライザの設定をほぼいじっていない状態でのレビューです。
・普段の用途は動画視聴やゲーム、音楽鑑賞、パソコン作業時に。最近はワイヤレス使用が増えたが有線しか使えないNintendoSwitch(2021.09.15追記:なんとアップデートでBluetooth接続でワイヤレスが使えるようになりました!)に加えパソコンでアクションゲーや音ゲーもそれなりに遊ぶので有線イヤホンも持っています。
・好きな曲は他記事を参照してください。書こうとしたら滅茶苦茶長くなってしまった。好きなのは主にインスト曲で、MUZIEでトランスにハマって以来EDMを聴くことが一番多いです。普段はゲームやアニメのサントラを良く聴いており、民族風の楽曲も好きです。好きな楽器は特に弦系、エレキ好き、ベース好き、ヴァイオリン、チェロ、コンバス。ブランデンブルク協奏曲の第六番は至高。
音質面
総評としては、有線イヤホンで言うと1万円台中盤の音質かな、という感じでした。いつものSONYからいま一つ抜け出せていないけど、機能面で挑戦をしたのかなというのが一通り聴いた感想。
再生能力自体は極めて高く、20Hz-20,000Hzまでくっきり聴こえます。(ハイレゾ音源だと40,000Hzまで。ちょっと自分の耳では確認できませんでしたが)
以下、細かいレビュー。
いつものSONYより音の粒が細かい
SONY製品のワイヤレスイヤホンのWI-C200やWI-C310だと、音量を上げれば上げるほど音の不明瞭さが際立ちます。なんとなく「ぶわー」っと音を広げて誤魔化している感じのイヤホンが多く、音の多い曲だとモザイクがかかったようでちょっと物足りなさがあります。
ぶっちゃけSONYはそれで「迫力」を出している感じのオーディオ機器が多く、その辺が玄人受けしない部分だと思います。本機もその「ぶわー」は存在します。
ですがいつものSONYイヤホンと比べるとごまかしが弱い印象もあります。音の粒が細かくて、パートの聞き分けがしやすい。
特にドラムキックや打楽器系の音、弦をはじくピックの音が良い。「ぽちゃんぽちゃん」といった水の音も心地よく、環境音を垂れ流したい場合も良。この感じはハイレゾでこそ発揮される性能だなと思いました。
低音から高音までちゃんと細かく聞こえ、高音低音のバランスも良好です。後述の通り、やっぱりいつも通り低音重視だなーという印象ですが、こだわりが低音周辺なら許容できる範囲です。
低音:良
このちみちみした部品で良くぞここまで・・・という重低音。ゴツさはそこそこ、一番低いところまで細かく聴こえる。もちろん有線に敵う事はないが、この小ささで細かい音まで拾うところを評価したい。
ドラム音、良く聴こえます。上述の「ぶわー」という誤魔化しがいつもより少ないのも意外。他に、個人的に気に入っているのはノイズ音の表現で、刺さらないけど良く聴こえる程よいバランスで心地よかったです。ベース音はもう少し欲張りたかった感もありますが、これだけ聴こえれば十分でしょう。
具体的に書くと、このイヤホンでダブステ聴くのはなかなか良い。音が埋もれない。でももっとブォォォンが欲しい人には少し物足りないかもしれない。
ヘビメタで酔うほど重低音を浴びたい人には完全に向いていない。圧が足りない。
という感じでした。ここも好みがあるかもしれませんが。
クラシックやオペラなどの低音では、音自体は好みでした。でももっと解像度が欲しいというか。伸びた時に違和感がある。流石にこれ以上をワイヤレスに求めるのは間違っている気もしますが。
逆に、いつものSONYに慣れてると「あれ、ちょっと音量足りないな」があるかもしれません。個人的にはこの方向性でもう一味欲しい。
中・高音:まあ良い
軽くうっとりするレベルで綺麗ですが、「あっはい、そこで止まるんですね!」という少し抜けきらない音。
柔らかな高音の歌声が印象的な曲だと歌が若干ドラムパートの後ろに入って気持ち悪いな、と思う事もありました。まあ、この辺はいつものSONYでしょうか。
エッジの効いた中・高音との相性は良く、低音とのバランスもいつもより頑張っている印象。私は聴きながら「この曲には合うな」「これは微妙だな」と一喜一憂していました。
機能面
ノイズキャンセリング機能はかなり良く、充電持ちと合わせてオススメポイント。ただしタッチセンサーの操作性は難あり。PCで使う際は勝手にマイクがONになることもあるので先に録音を無効化しておくことをオススメします。
ノイズキャンセリング/アンビエントサウンド:優良
今回、初めてノイズキャンセリングイヤホンを使用したのですが、とても気に入っています。まずイヤホン自体が発するホワイトノイズがほとんどなく(*1)、ノイズキャンセリング機能をONにすると外音をシャットアウトして更に静かに。
特に風音、この夏の時期はPCのファン、エアコンや扇風機のうるさい音が聞こえなくなって便利です。音楽に集中できますし、音楽を切っている時はそのまま作業用耳栓にも使えました。マウスやキーボードの音はそこそこ聴こえていたので、この辺はこだわりで評価が分かれそう。正直後述の落としやすさがなければ外出時でも使いたい性能です・・・。音楽のノイズ系の音の扱いと言い、なんかこのイヤホンはノイズへの気の使い方が半端ない。
アンビエントサウンドも使い勝手良好。私はNintendo Switchでゲームを遊びながらイヤホンはパソコンに接続して生放送を見るという事を良くしているので、この機能本当に助かります。ゲーム機の音量を上げたりイヤホンを着脱したりといった必要が減って楽になりました。音もなかなかクリアです。
バッテリー持ち:良 フル充電で10~12時間ほど
WI-C200、WI-C310が一日中(だいたい15時間ほど)再生しっぱなしにしてもまだ余裕があるくらい持ちが良いのでちょっと違和感がありましたが、この音質ならこんなものでしょうか。
1日中音楽漬けになっていると8時間過ぎたあたりで充電が20%を切り、アナウンスが流れます。12時間くらいが限界で、ノイズキャンセリング機能を入れっぱなしにしていると8時間未満で充電がなくなりました。おはようからおやすみまで音楽漬けとはいかないようですが、職場や学校から帰宅して音楽を聴こうという場合には十分。持ち歩く場合も不便はないでしょう。
音楽漬けになりたい場合はこの「充電してください」のアナウンスがかなりうざったいので注意。
操作性:難あり
少しイヤホンの位置を調整しただけでボタンを押してしまい(アナログボタンではなく、タッチセンサータイプ)切り替えが面倒。
ちょっとイヤホンの位置を調整した時に押してしまい幾度となく「ぐああああそこで止まるんじゃねええ!」と叫びたくなりました。いやこの方が小さくできるのかもしれないけどね!
また、ファームウェアの更新をしないとノイズキャンセリングの切り替え関連でバグがあってストレスがたまります。
イヤホン自体に音量設定があり、専用アプリで調整しなければならないのも難点。最初、異様に音が小さくて聴き辛いと思ってアプリを見たら、イヤホンの音量が20%未満だったと言う事がありました。特にパソコンで使う方は注意です。
イヤーピースのサイズは人を選ぶ
ほとんど円筒といっていい形状をしていて、分厚いので、人を選ぶ。私には合わず、結局手持ちのイヤーピースを使っています(下記)。音は変わってしまいますが、フィット感にこだわる方は自前のイヤーピースを準備する事をお勧めします。
ちなみに、イヤーピースを付ける部分は軽く確認した限り直径4mmほどで、たとえば上記のイヤーピースだと穴部分の直径3mm強でなんとか付けられる感じだったので、それくらいのサイズなら許容のはず。私は同じSONY製イヤーピースのLサイズを使用しています(*2)。手持ちの予備イヤーピースがあるならサイズ確認を。
携帯性:軽いが落としやすい
軽くて小さくて、バッグに入れやすい。しかし、この形状の例に漏れず落としやすい。ちょっと耳近くに触っただけでポロッ、落とした物をかがんで取ろうとしたらポロッ。怖い、怖すぎる。間違っても屋外で使ってはいけないと思います。
移動中に屋内で一息、という場合には良さそうです。
接続性:接続自体は良好 音飛びや遅延はある
接続自体はスムーズ。複数機器との接続はできませんが、デバイスの切り替えはサクサクです。また、同じSONY製のWI-C200、WI-C310では、接続状況によって突然音楽のピッチが変わって嫌だったのですが、それが無くなったのがうれしいです。この辺は高価格帯のワイヤレスイヤホンでは軒並み解消されている問題なのでしょうか?
ただ、音飛びや遅延はあります。音ゲーはほぼ間違いなくできません。試しにPC版「DJMAX RESPECT V」を起動させましたが、起動直後からずっと音飛びが続き、遊ぶどころかセレクト画面から苦痛という有様でした。
音楽や動画を楽しむ際には気になる遅延ではありませんが、長時間聴いている場合は、センサーの関係か突然片方が聴こえなくなる事も。着脱やONOFFで対応を。
まとめ
ふだんイヤホンのレビューを見て、「好きな音楽も書かれてないのに良い音も悪い音もないじゃないか」と常々思っていたのですが、実際書いてみると表現がなかなか難しく、反省点の多いレビューとなりました。いかがだったでしょうか。
WF-1000XM4については、正直に書くと普段からオーディオ機器に3万も出すような人にオススメするのは少し微妙かなと思いました。SONYの音が好みの系統で、ノイズキャンセリング機能やイコライザを試してみたいという人になら感想を聴いてみたいという感じです。
なんにしろ高いお買い物なので、SONYに限らずまず色んなメーカーのイヤホンを下の価格帯で試聴して「この系統で3万なら出しても良い」という音が見つかったら購入する事をおすすめします。個人的には、少し値崩れを待っても良いと思います。