今日の読書は「英国メイドの世界」。英国(特にヴィクトリア朝時代)のリアルな使用人の世界を紹介した、メイド事典です。
元々は同人誌として刊行されたこの本。内容は非常に多岐にわたり、
- 「メイド」という職業が成立した歴史的経緯
- どのようにメイドに就職するのか。応募・面接・採用まで
- メイドの待遇や労働環境・社会的地位
- メイドの種類と具体的な仕事内容
・・・と、(まだまだあるのですが)これらの内容が詳しく記載してあります。メイドのみならず男性使用人についても100ページ以上の記載があって、全部合わせるとなんと600ページ以上。読破するつもりで買うとかなりの重厚感になります。しかもこれが膨大な資料を読み尽くし、研究した成果だというのだから驚きです。
しかし、この専門書かと言わんばかりの分厚さと裏腹に文章は平易で、写真やイラストも豊富にあり、当時の求人広告・使われていた道具・建物の様子など・・・。様々な資料を通してメイドを知る事ができます。
私達には馴染みの薄い道具についても記載があって、個人的には当時使われていた食器の種類と洗い方の項にウキウキしました。まるで皿と格闘するメイドのため息が聞こえてくるかのよう。気になる給料や社会保障についても触れており、当時の生活状況を窺い知ることができる、という点でも魅力のある一冊です。社会の一員として・また組織人として、一つの時代を生きていたリアルな人間の姿が、そこにはあります。
参考資料として使用するには、巻末に索引が無いこともあって若干使いにくい面もありますが、ここまでメイドを愛し、調べ尽くした本は滅多にありません。職業としてのメイドに興味のある人はもちろんのこと、英国の歴史に興味のある人や、創作でちょっとリアルなメイドを描写したい!という人にも、一度手にとって欲しい1冊です。
- 作者: 久我真樹,撫子凛,宮鼓
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2010/11/12
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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