ウツギの日々趣味日記

ゲーム・アニメ・音楽・読書など。趣味のことをつらつらと。

凱旋門賞2022感想

見計らったような雨を切り裂くようにして、アルピニスタが勝利。3着トルカータータッソで、気になっている馬に挙げた二頭とも入ってきたのは驚きました。特定の状況下で好走する馬や、距離特化型が好きな自分としてはかなり好みな結果になりました。日本馬がその中で勝ち負けしてくれたら燃えたけど、結果は結果。

馬場は最悪で、上がりタイムがアルピニスタでさえ39秒台という異常事態。その中でステイフーリッシュがタイトルホルダーと並ぶ42秒台の上がりタイムを出していて驚きました。お前・・・切れるタイプでもないのにお前・・・やっぱりお前調子良いじゃん・・・。

矢作調教師のコメント通り力負けだったのでしょう。レース後の元気な走りを見るにそんなに馬場を苦にしている様子もなかったので、やっぱり最後の直線で前に出れないんだなというのと、スタミナ勝負に持ち込みたい馬なんだなとも改めて感じました。

本当位置取りと枠番がネックで、大外じゃなかったら1ケタ台着順あったかもなあ、どこかの長距離G1に出て欲しかったなあなどとしばらく悶々としていました・・・。でもドーヴィル大賞では好走していましたし、悪い挑戦ではなかったと思いたい。

タイトルホルダーは、なんとなく成績がクロノジェネシスぽかったのでダメでも10着前後かなと思っていたら本当にその通りになって何故か謝りたい気持ちに。これだけ走れるなら良馬場ならいけたんじゃない・・・?と期待してしまうような走りでした。ただ、逃げ方は(後述しますが)もうちょっと考えた方が良さそうな感じも。

対してドウデュースとディープボンドは、そもそもここの重馬場が駄目そうな雰囲気で、レースの着順どうこうという話ではありませんでした。本当にお疲れ様でした。ゆっくり休んでください・・・。

ロンシャン競馬場に適した馬とは

結果は伴いませんでしたが、今回、4頭もの馬が出走し、加えてエントシャイデンが今年もフォレ賞に出走した事で、ロンシャン競馬場の情報はかなり集まったのではないかと思います。

有識者には大して真新しくもない情報かと思いますが、今回の結果を踏まえて自分が思った特徴をまとめてみました。

日本の競馬場のどこを勝っていると強いか

www.jra.go.jp

凱旋門賞は、坂の勾配を伴った長いカーブのコースを走ります。坂があるならば、阪神競馬場と中山競馬場で強い馬が勝つのでは、と言うのは私でなくとも思い浮かびそうなところです。実際、そのような意見も沢山見かけました。(*1

具体的には阪神と中山の2000m以上。その点、オルフェーヴル(2着)やディープインパクト(3着、のちに薬物検出で失格)は言うに及ばず、ナカヤマフェスタ(2着、11着)もセントライト記念(中山G2)や宝塚記念を勝った後にフランスに渡っています。

昨年のクロノジェネシスも宝塚記念や有馬記念を勝っていて、その後凱旋門賞・7着(14頭立て)となかなかの成績を残しているので(*2)、今回、4頭の中で菊花賞(京都競馬場の改修工事の影響で阪神開催)、天皇賞・春(こちらも阪神開催)、宝塚記念での勝ちがあるタイトルホルダーが一番可能性があると思っていました。

有馬記念やセントライト記念の負け方は気になるものの、その後日経賞は勝っている訳ですし、馬場が悪くてもクロノジェネシス前後の着順になるのではないか・・・と。そして今回、タイトルホルダーは20頭立ての11着。ほとんど予想通りの結果。

ただ、この着順に逃げ作戦が絡まなかったのは気になります。もっと前に残ると思っていました。作戦として逃げはさほど悪いものではないはずです。1998年のエルコンドルパサーは逃げ作戦で2着という結果を残しています。もともと先行馬であった馬の逃げでの好走があるなら、もともと逃げ馬として強いタイトルホルダーにはもっといい結果があるはず。何が要因だったのか・・・。

馬場に対応した走り方

坂が問題ないならば、後は馬場でしょう。エルコンドルパサーは春からじっくりフランスでの走り方を学んできました。だからこそ逃げが打てた。

そもそも凱旋門賞は逃げ勝ち自体が珍しく、直近でも1996年のエリシオくらいしか逃げ勝ちが見つけられませんでした。しかもレース内容を見るに、序盤はしっかり抑えて走っています。引き離すのはフォルスストレートが終わる頃。コースを熟知した走りです。よほど走り慣れていないとロンシャンを逃げ切り勝ちを狙うのは難しいのかもしれません。むしろ、初めてのロンシャンでのレースなのによく11着だったなと。

また、凱旋門賞が行われる時期のフランスはちょうど雨季にあり、稍重以上になる事も多いです。その点、エルコンドルパサーはデビューして間もない頃に不良馬場や重馬場で勝利を重ねていますし、オルフェーヴルは不良馬場のダービーを制しています(2011年)。ナカヤマフェスタも不良馬場となったダービーで4着(2009年、ロジユニヴァースの年)と好走していました。

それと、少し前に軽種馬育成調教センターのWEBサイトから閲覧できる「三冠馬の走り方」を読んだのですが、どうもオルフェーヴルは不良馬場でもあまり走り方を変えていないらしく(普通は足元を気にしてストライドを短くしてピッチを上げるらしい)、そういった不良馬場を経験しているか、あるいは不良馬場に怯まない走りを見せていたかが、もう一つのファクターになりそうです。

ただ、良馬場開催はなくもないので「じゃあ重馬場で走らないなら連れていく意味がない」とも言いきれません。

たとえば、2006年に挑戦したディープインパクトは重馬場を走ったレースが一度もなく、凱旋門賞出走時も良馬場で好走しました。逆に、ナカヤマフェスタは2010年重馬場開催で2着と好走していますが、良馬場開催となった翌年2011年には11着と大敗しています。ナカヤマフェスタについては気性の問題もあると思うので馬場と着順だけ見て全てを語るのもなんですが、ロンシャン競馬場は馬場によって別ものになってしまうのかもしれません。

今回バーイードなどのように、馬場の状態を見て出走の可否を決める陣営もいました。そういう意味で、良馬場専用機と重馬場専用機を1頭ずつ連れていくのは、戦略の一つとしてありえそうです。ディープボンドは重馬場になってしまったのが本当に残念でしたね。相当重馬場が堪えていた雰囲気でしたからゆっくり休んでほしいところ。

また、ドウデュースも良馬場ならどうだったのか、結局見れなかったのが残念でした。私は、ドウデュースは欧州は適性がなく、むしろアメリカやドバイの方が走るんではないかなと思っているんですが、どうなんでしょう。アメリカG1でいっぺん見てみたいものですが、どうも陣営というか馬主はダービー馬というブランドに囚われていて馬の方を見ていない感じがして参考になりませんし。

エントシャイデンの好走をどう見るか:下り坂とフォルスストレート

world.jra-van.jp

ここまでロンシャン競馬場が得意そうな馬の仮説として、

①阪神競馬場と中山競馬場が得意な馬である事
②不良馬場の経験があるか、得意そうである事

を挙げました。しかしこのどちらにも当てはまらない馬が昨年、今年とロンシャンで好走しています。エントシャイデンです。

彼は日本国内では重馬場を走った事があるわけでも、阪神や中山が得意なわけでもありません。オープン馬でありながら、昨年に引き続きG1であるフォレ賞に出走し、2年連続3着の記録を残しました。これをどう見るべきでしょうか。

芝1400m、当日は重馬場でのロンシャン競馬場開催。高台スタートでコースには下り坂しかありません。ただ、下り坂だけだからオープン馬でも走れたという見方はできません。何しろ下り坂とあの長い長いフォルスストレートがあります。全編あの嫌なコースを走り通しです。

ahonoora.com

ロンシャン競馬場の高低差は10m、中山競馬場のほぼ二倍です。そのこともあってかこのくだり坂、変にスピードが出るようなのです。フォレ賞のレコードタイムが2015年良馬場開催・メイクビリーヴの1:17.05で芝1400mの世界レコード。重馬場では1分25秒台や、古い記録では1分30秒台(*3)もあるものの、昨年は不良馬場でスペースブルースが1分22秒台を記録していました。スピードに乗れてしまう馬は乗れてしまうコースということなのでしょう。

凱旋門賞も相当早いタイムが出る事があるようなのですが、この下り坂が影響していることが伺えます。出走馬は、このやたらスピードの出る走りにくい下り坂と変なカーブを、最後の直線に入るまでスタミナを使わずに走り抜かなければなりません。

そんなコースでなぜエントシャイデンが3着に入れたのか。一つ思い浮かぶのがずっと内ラチ側にいられたこと。彼は国内ではむしろ左回りの方が経験が多いのに、フォレ賞の変な右回りコースをちゃんとこなしていました。

もう一つは下り坂の変にスピードの出そうなところで前に出すぎずレースができていたこと。逃げ切り勝ちを狙う場合、上記で触れたエリシオのようにほとんど先行に近い形を取るのが理想だと思います。エントシャイデンはそうした逃げに近い形の先行をずっとやっていました。最後は引き離される形でおわってしまいましたが、この下り坂でのペース配分をもっと上手くやれれば、好走する馬はもっと増えそうだと私は思いました。この下り坂攻略、もっと力を入れてみても良いのではないでしょうか。登山なんかでも、上りより下りがきつかったりしますし、同じ事がロンシャンにも言えるのではないかなと私は思います。

 

(2023.10.3 タイトルに2022を追加。重複表現を修正)

*1:追記:全体の流れとしては上って下る京都競馬場が近そうなんですが、フォルスストレートに近しい面倒くささが見当たらないのと、改修工事で馬場がどうなるかですね…

*2:※記事にはしていませんが昨年も凱旋門賞はリアタイしてました

*3:さすがに馬場状態は最近と違うだろうが