ウツギの日々趣味日記

ゲームなど中心に趣味のことをつらつらと。

私のアニメ見聞録 #3 「スペース☆ダンディ」

前回まではわりとベタな、普通の作品と言いますか、自分の中でスタンダードな魅力の作品を紹介してきました。

今回からはいかにも評価が二分しそうな作品、癖が強すぎて人には勧め辛い作品も紹介していきたいと思います。今回はこの作品。

 

スペース☆ダンディ

第3回のアニメ見聞録はスペース☆ダンディ。2014年のオリジナルアニメ作品です。ジャンルはSFコメディ・・・で良いんでしょうか?80年代くらいのなんとなくチープでレトロな雰囲気が印象的。

分割2クールでの放送、1~3月、7~9月に分けて全26話が放送されました。私はリアルタイムで視聴、その後も好きな話は何度も見直しています。

毎回制作スタッフが変わり、絵柄が変わり、話のノリが変わり。爆発オチ、謎エンディングなんでもござれ。そんなハチャメチャな事をしておいて、ラスト数話で綺麗にSFとして終わる。色々と凄まじい作品でした。

「研ぎ澄まされた適当」 

kai-you.net

このアニメの特徴はなんと言っても、基本設定以外はなんも決まっていない事です。メインキャラ、基本設定、舞台のデザインだけざっと最初に用意して、具体的な話の流れは各話スタッフと話し合いながら決める。ファンブックによれば(大きく分類できるものの)話数ごとに話を出来上がり方さえ違ったそうです。

これは恐ろしい事です。「材料は用意したので料理してくれ」と課題をぶん投げつつ、「これはスペース☆ダンディである」という基本線は外さないで展開させていくわけですから。それをこの豪華参加スタッフが、キャストが、おふざけと悪ノリを交えながら見事やり遂げたのがこの「スペース☆ダンディ」という作品です。

意図せず生まれてしまった投げっぱなし展開やカオスとは一味違います。近年の作品では珍しく「真面目に悪ふざけをやった」作品と言えるでしょう。

そしてこのゆるさが、最終的にSFとしても意味を持ってきます。この適当なようで計算された、かといってギチギチに作り込まれた作品でもない。コンセプト通りの絶妙なバランス感覚が魅力の作品でした。

好きなキャラクターと話

この作品については全体の話をうだうだ語るよりも、各話について語った方が魅力が分かりやすいでしょう。基本的には一話完結型・オムニバス形式の作品ですが、全話通して話が緩くつながっていて、通しで見ても良いかもしれません。

方向性をはっきりさせた1話

 「あ、このアニメってそういう感じ・・・」と視聴者に懇切丁寧に教えてくれる第1話。このアニメがどう見えるかは、この話をどう思うかにかかっているといっても過言ではありません。

笑い飛ばすか、真面目に考察するか。ともかくはっきりしているのは、人によって合う合わないがハッキリした作品であるという事。

スカーレットさんのキャラ付けが始まる2話

今は亡き永井一郎さんも出演している第2話。個人的には「スカーレットさん美しい・・・」とドキドキする回でもありました。彼女は後の話で宇宙人に口説かれたりトレンディドラマのヒロインを演じたりもします。

スタッフごとの個性がハッキリと出始める回です。アクションからするっとしんみりした話に持っていくのもすごい。

死の概念がぶっ壊れる4話

既成概念をぶっ壊す回もあります。4話はゾンビ回。動いているのに病院に行くと死んでますねと言われ、自分の死亡を証明する為に奔走し、だんだんと自分が生きてるんだか死んでるんだか良く分からなくなっていく。

ゾンビという題材をギャグ調に消化しきった回、笑いながら見ました。全26話を通しても一番好きな話です。

死を哲学する21話

幻想的な雰囲気が漂う第21話。何もかもが美しい回。同じ死を扱う話でもこんなに違う話が出てくる、そしてそれを見ることができる。スペース☆ダンディは本当に贅沢なアニメです。

この話は公式サイトの美術ボードも必見。(http://spacedandy.com/episode/21/

時間SFとミャウの掘り下げを一緒にやってのける10話

時間SFの定番の一つをやりつつ、ミャウ掘り下げもやってしまう10話。最後のごり押し解決法がダンディっぽくて好き。

ファンシーに描かれる植物生命体、9話

SFとしては分かりやすい部類の話ですが、独特の音楽や絵に引っ張られます。演出の大切さが良く分かる回。ちみちみ動いてんのが可愛い。

ゲル博士が無駄にカッコイイ11話

SF好きなら一度は耳にする作家・円城塔さんによる脚本で描かれる11話。この話は本格的なSFで考察しがいがあります。ゲル博士とビーの掘り下げもこの回で、他の回より学者っぽい感じ。

ロボットと恋、13話

恋愛模様も色々。切ない恋愛に、ロボットアクションに、若干のSF要素さえ含む13話。この話については各家電のキャラデザインが好きです。

ブラックなオチがたまらない16話

そもそも私がこのアニメを見ようと思ったのは参加スタッフに湯浅政明さんの名があったからでして。

一発で分かるぶっ飛んだ作画、謎言語での交信、首だけで移動する場面では思わず吹き出しました。惑星の設定も勿論、オチのブラックさがたまりません。

ダンディの歌声に震える17,20話

17話はベッタベタなミュージカルドラマ。この回は英語版の歌もかなり良くて話題になっていました。(余談ですが、スペース☆ダンディは全編通して英語吹き替え版のクオリティが非常に高いです)

そして20話はなんと上篠淳士さんがキャラデザイン!何か元ネタがあるそうで、世代の方なら更に楽しめるかも?

トレンディドラマをド直球でやる23話

一昔前のトレンディドラマネタを一通りこなしつつ、超絶作画でロボットアクションもやる色々と欲張りな23話。嗚呼、スカーレットさん可愛い。

「次元」が違うってどういうこと?24話

また円城塔さんの脚本。今度は次元違いの恋愛がテーマ。難しい話もちょいちょい挟まりますが、全体的にギャグ色が強いです。次元の表現がいちいち面白くて笑いました。

「ダンディ」らしいラスト、26話

 ダンディらしく、良い落としどころを用意した26話。今までのハチャメチャがまるで全て計算通りだったかのようにさえ感じてしまうラストです。この手のハチャメチャな作品としてはこれ以上ない締め方ではないでしょうか。

実はベタな題材が多い

このように良い所ばかり書いてきましたが、正直この作品については「絶賛している人もいるけど俺はちょっと」という人も沢山いると思います。

まず全話を通して・・・ぶっ飛んではいるんだけど、題材としては案外無難な話が多い。「この程度で満足しちゃうんだ?ふーん」みたいな感想を持った人もいるでしょうし、私自身もうちょっと変化球が見たかったなーというのが正直な感想でした。

よく玄人向けだとかオタク向けだとか言われるこの作品ですが、見た事も無い題材や完全オリジナルが見たいんだよなーという玄人は、視聴後多少がっかりすると思います。ゲテモノ食いにとっては刺激が足りない作品なのです。

一方で、この作品は見るかもしれない人の事をそこまで意識していません。知人が家族とホームビデオを見て盛り上がってる横で、自分は全然話題についていけないし何が面白いのかわからない・・・みたいな話がいくつもあります。

あるいは、出された料理がなんかすごい見た目をしていて食べるのにためらう。味見したの?と聞くと「まずいかもしれないけど食べてみてよ!」と笑いながら言われたりする。

・・・「スペース☆ダンディ」はこのように、すごい玄人向けってわけでもなければ素人向けでもない微妙な立ち位置にあり、見る側に多少の思い切りの良さと寛容さが求められる作品です。

それでも、この作品はかなり上手くやった方ではないかと私は思っています。破綻せずにここまでのクオリティで完結させた事を評価したい。また似たような企画が通る事を願ってやみません。

ファンブックもおすすめ

どんな風にこの企画が始まり、どんな風に作り上げていったのか。完成までの経緯が気になる作品ですが、このファンブックは総監督・渡辺信一郎さんのインタビューをはじめとして、スタッフやキャストのインタビューが充実していて読み応えがありました。おすすめです。

 

 

TVアニメーション「スペース☆ダンディ」O.S.T.1 ベストヒット BBP

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