ウツギの日々趣味日記

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今日の読書 #8 「ステレオタイプの社会心理学―偏見の解消に向けて」(サイエンス社)

今日の読書は「ステレオタイプの社会心理学―偏見の解消に向けて」。今回は事あるごとに読み返している、この本を紹介したいと思います。

 

皆さんは表向きの肩書きだけで根拠もなく決め付けられて、むっとした事はありませんか?

別に自分の性格にそこまで関係ないのに、一括りにして考える人は意外と多いものです。私自身、趣味の話をしていると意外そうな顔をされてイラッとする事があります。最初からこうだとあたりを付けて話してくる相手に「訂正したいけど悪気はなさそうだし」と悶々とすることも。

じゃあ、私は何の偏見もない人間かというとそういう訳でもありません。先入観で話して相手を傷つけた事、個人の問題を無視した事は数え切れないほどあります。相手の態度でやっと自分の浅はかな発言に気付くこともしばしばです。

どうして偏見を持ってしまうのか、反射的に考えることをやめられないのか。どうしたら考え方を変えられるのか。本書はそんな偏見が生まれる過程・変化する過程について考える、社会心理学の入門書です。

 

本書ではステレオタイプを「誰でも持ってしまうもの」として説明します。情報に溢れた社会で生活するうえで、全ての判断を行うと時間がかかってしまう。そこで、思考を節約する為に「ステレオタイプ」を利用するのだというのです。これはマウスだ、これはキーボードだと認識するために欠かせないのがステレオタイプというわけですね。

しかし、こうして何でもかんでも「○○=×△である」とステレオタイプで考えていたら、個人の資質を誤認して合わない仕事を任せてしまったり、勘違いで相手を酷く傷つけてしまう事があります。その考え方が行き過ぎると入店を許可しない・物を売らない等といった待遇の差別・暴力に発展するといった問題も起こってしまうのです。

こうした「便利だけれども厄介な問題もある」ステレオタイプはなぜ生まれ、どうやって維持されるのか。また、どうしたら偏見を解消していけるのかということを、本書では社会学の様々な研究・実験例を通して論じていきます。自分が感覚的に理解していた事に具体的な説明や実験例があるのが驚きで、また新しく知る事も多く、非常に参考になりました。

勝手に自分の事を決め付けられて人知れずイライラしている方。どうしてこんな偏った考え方をしてしまうのだろう、と自分自身の偏見に悩んでいる方。「偏見」の仕組みに興味関心のある方や、差別問題に心を痛めている方にも、まず読んで欲しい1冊です。真面目な内容ですがコンパクトにまとまっており、読みやすくてオススメです。

 

ステレオタイプの社会心理学―偏見の解消に向けて (セレクション社会心理学)

ステレオタイプの社会心理学―偏見の解消に向けて (セレクション社会心理学)